【シューズレビュー】NewbalanceのFuelCell Rebelの第二弾が発売されたので履いて走ってみた

【シューズレビュー】NewbalanceのFuelCell Rebelの第二弾が発売されたので履いて走ってみた

こんにちは。

先日、カナダでの生活を終了して日本に帰国しました。

私が生活をしていたエリアが日本政府によって出国直前に指定区域となり、慌ててPCR検査を受けたりとバタバタとしましたが、大きなトラブルもなく無事に帰ってくることができました。

コロナ禍だったということを含め、少々特殊な留学生活だったのかななんて思うのでその経験談についてもどこかで記事にさせていただけたらいいかなと考えています。

さて、今回はニューバランスから日本時間の3月11日(木)に発売されたFuelCell Rebel V2 (フューエルセル レベル V2)の走り心地やサイズ感についてのシューズレビューを行っていこうと思います。

例によって過去に着用してきたランニングシューズをの比較を交えつつ解説をさせていただきます。

*2021年7月24日追記:250km走行後のFuelCell Rebel V2の記事を公開しました。よろしければこちらもご覧になってみてください。

初代FuelCell Rebelについて

FuelCellとはどんなクッショニングフォームなのか

レビューに入る前に少しFuelCellという素材について触れていこうと思います。

FuelCellとはニューバランスが所有するクッションフォームの一種で、特にエナジーリターン、つまり蹴り出し時の反発力の向上に注力して開発されました。発表は2019年ということで、同ブランド内でも新しいテクノロジーであると言えます。

ここで気になってくるのは同じく同社のランニングシューズの看板テクノロジーとして2014年に登場したFreshFoam (フレッシュフォーム) です。そういえばこちらも高い反発力が特徴のミッドソール素材だと記憶していたのですが、どのような違いがあるのでしょうか。

ということでそれぞれの特長について調べてみたところ、ニューバランスのパフォーマンスランニングのゼネラルマネージャーを務めている方のインタビューが見つかりました。

彼によると、いずれもエナジーリターンにフォーカスして開発されたテクノロジーであり、FreshFoamはソフトで快適な履き心地と反発性を両立させている一方で、FuelCellではより反発力の強化に主眼を置いた設計になっているそう。
私の解釈としては、FreshFoamは競技利用だけでなく、日常的にスニーカーを着用する人を含めた幅広い客層に目を向けて開発されたクッショニングテクノロジーであり、FuelCellはより競技志向の高いユーザーをサポートするための反発力を備えたミッドソール素材であると理解しています。

以前当ブログでも紹介させていただいたニューバランスのバスケットボールシューズ、OMN1SのミッドソールにもFuelCellが搭載されています。
画像:筆者私物

FuelCell Rebel V1 はこんなランニングシューズだった

初代 FuelCell Rebel。ソックスのようなワンピースアッパーとソールの中足部の形状が印象的。
画像引用元:newbalance.newsmarket.com

今回シューズレビューを行うのははシリーズ第二弾にあたるFuelCell Rebel V2ということで、第一弾がどんなシューズだったか復習をしておこうと思います。

初代FuelCell Rebelが発表されたのは2019年の春ごろのこと。ブランド初のFuelCell搭載ランニングシューズのひとつとして登場しました。

当時のラインナップにはFuelCell Rebelの他、5~10kmまでの中距離レースを想定して開発されたカーボンファイバー搭載シューズ、FuelCell 5280の他、ランニング以外のカジュアルシーンでの着用までカバーするFuelcell Echo (エコー) というシューズなどが含まれていました。

その中において、FuelCell Rebelのポジションは中~上級者向けの軽量ニュートラルランニングシューズで、トレーニングからレース本番にも対応する万能シューズとしてラインナップされていました。

海外のレビュワーからやたらと評価が高かった初代FuelCell Rebel

私が初代FuelCell Rebelを知ったのは2020年に入ってからのこと。カナダ生活中に再開したランニングもすっかり習慣化され、そろそろ新しいシューズがほしいなーなんて思っているときにYouTube上でいくつかのレビュー動画で同シューズを発見。その存在を認識しました。

正直、カジュアルシューズのイメージが強かったニューバランスを競技用シューズとして履きたいと思ったことはあまりなかったのですが、その独特な形状とレビュー内でやたらと高い評価がされているFuelCell Rebelがだんだんと気になってきていました。

kofuzi氏「リラックスしたペースには全然向かない。ただ、テンポ走やレーストレーニングにはめちゃくちゃいい。スピードを出す場面で活躍するシューズ。」

Seth James DeMoor氏「10点中8.25点の履き心地。これ、いつも7点ぐらいしかつけない自分にとってはかなり高いスコアなんだよ。とても快適で、フル、ハーフマラソンのレース時にも使えるシューズだと思う。この機能で130ドルっていうのもまた驚き。」

the ginger runner氏「ワンピースアッパーってあんまり足をロックダウンしてくれないイメージがあるけど、これは別。とてもよくフィットしてくれる。長い距離を走る日、スピードを出して短い距離を走る日の両方で使えるかんじだね。耐久性はちょっと不安だけど」

と、言うことで私が好むデイリートレーナ―的なシューズではないものの、私が崇拝する3名のレビュアーの動画を見るとそれなりに高い評価だったということでこのRebel V1に興味を持つようになりました。

しかしながら、カナダで商品を探し始めたころには時すでに遅し。セール価格になっていたものの、初代リンコンを探していたとき同様マイサイズは完売していました。

仕方がないなーと思いつつダメ元で日本の販売店舗を覗いてみるとセール価格ながらフルサイズしっかり在庫を抱えているではないですか。その上、商品の割引額はカナダのそれを大幅に上回っていました。

それを見てしまうと敢えてカナダでマイサイズの残っている定価の商品を買う必要はないなーと思い、購入を見送ることにしました。国が違うと人気や在庫数にここまで差がでるのだなと思った次第です。

ちなみに、現在もRebel V1は多くのショップでセール価格で販売されていますので、興味のある方は探してみてください。


初代のコンセプトを受け継ぎつつ、進化を遂げたFuelCell Rebel V2

日々のランニングからレースまで対応する万能シューズ

初代誕生から2年の時を経て2021年に発売されたのがこちらのFuel Cell Rebel V2です。
ぱっと見、前作の面影はほぼ残っていません。
画像:筆者私物

某有名オンラインショップに書かれていた解説によると、”日々のランニングからレースまでカバーする、様々なレベルのランナーに向けたシューズである”という記載がありました。V2はさまざまなペースに対応できるシューズであることが読み取れます。

余談ですが、私はこのような “Versatility” 、つまり “汎用性” の高いランニングシューズを常々探しています。ほぼ毎日ランニングを行うので、毎日走るための機能やサポート性、そして耐久性が備わったシューズが好みです。一方で、気が向いたときにはスピードを出すので、その時に履いてて気持ちの良い靴であってほしい、と考えるわがままな男だったりします。

幸い、昨今のランニングシューズは非常によくできており、愛用しているナイキのペガサス37なんかも私の希望をかなえてくれています。今回紹介するFuelCell Rebel V2がペガサス37と比べてどのようなパフォーマンスを見せてくれるかとても楽しみです。

大幅なデザイン変更が加えられたアッパー

アッパーは前作のワンピースアッパーから一転。ほぼ全面エンジニアードメッシュで構成されています。靴下がしっかりと透けて見えるほどの生地で、通気性は非常によさそうな印象。
カラーリングはHABANEROと呼ばれる白とオレンジを基調としたものを選びました。色味が爽やかで、カラーブロッキングも含めて気に入っています。
構造は前作のワンピースアッパーから一般的なものへ変更されています。シュータンはけっこう大判です。
画像のように、シューレースは斜めに配置されたオフセット仕様。フィット感が更に向上するのだとか。
画像:筆者私物

更に反発力を高めたFuelCellをミッドソールに搭載

クッショニングには前作V1からエナジーリターンを14%向上させたFuelCellを搭載。室内で履いてみたところ、ふかふかとした心地よいクッショニングが十分に体感できました。特にかかとに過重した際はそのやわらかさに驚きます。
パフォーマンスには直接関係ありませんが、ミッドソールに張り付けられた青いパーツは見る角度によって画像の”FuelCell”の他、”Newbalance”の文字が現れます。また、カーボンファイバー製のプレートの類は搭載されていません。
画像:筆者私物

海外のあるレビュワーによると、スタックハイトはヒール26mm、つま先20mmで、オフセットは6mm。
重量は27.0cmで約207g。手にとった感じもペガサス37に比べると非常に軽いです。

メーカー希望小売価格は税込み13,200円です。

アウトソールのラバーは部位によって粘度や耐久性が異なるものを使用しているみたいです。言われてみれば一般的に摩耗が激しいヒール部分のラバーは他の箇所に比べて固めの質感です。黄色や黒いパーツはしっかりとグリップしてくれそうなやわらかなラバーでした。
ペガサス37のように全面にしっかりとしたラバーが貼り付けられているということはなく、薄めのラバーを必要な箇所にのみ配置したという感じがします。シューズの軽量化にも役立っていそうです。

FuelCell Rebel V2を履いて走ってみた!!

ということで先ほど走ってきました。

↑ “レベル”の綴りが間違ってますね・・・失礼いたしました。

足が前にどんどんでるFuelCellの反発力

走り始めて早々に気が付いたのがゴムまりのように足を跳ね返してくれる反発力。明らかに普段よりもペースが上がっていることが実感しました。通常、最初の1kmは5分30秒以上かけて走っていましたが、FuelCell Rebel V2を履いた本日は5分01秒と、30秒近くタイムを縮めていました。

スピードを緩めてみようかなとも考えたのですが、あまりにも心地よく足が前に出ており、スピード落とすと却って疲れそうな気 (まあ気のせいなんでしょうけれども) すらしたのでそのまま走り続けました。また、反発力もさることながら、その衝撃吸収性能についても目を見張るものがあり、ブリっとした確かなクッションを足裏に感じながら走ることができまます。

その後もペースを落とすことなく、合計6kmほどを走り終え、結果的にここ数か月で最も速いペースのランニングとなりました。

走行後の疲労感もなんだかいつもより少ないような気がしました。
画像:筆者私物

フィット感良好。通気性抜群。サイズ感はいつも通りで。

今回、サイズはナイキのペガサス37等の他のランニングシューズと同じく27.5cmを選択。幅はDを選んでいます。履き始めはちょっとつま先がきついかなと思いましたが、走り始めるとちょうどよく、私にはこのサイズでジャストなのではないかと思います。

アッパーのフィット感ですが、比較的タイトな部類に入るかなと思います。ナイキのペガサス37と比べると同等か少しだけ広いかなと感じるぐらいです。個人的には足にぴたっと貼りつくようなタイトな履き心地のシューズが好きなのでこの点は◎。

個人的に結構気に入っているのがヒールカウンター(画像の赤く透けている部分)と履き口に沿うようアッパー内に配されているバンド(履き口から踵にかけてうっすら透けている黒っぽいバンド)が非常に良い仕事をしているように思います。ぎゅっと靴紐を結ぶと履き口のバンドが踵の上部をしっかりとホールドしてくれ、靴との一体感が増します。

前述した通り、アッパーのエンジニアードメッシュは靴下が透けるほどに通気口がたくさんある設計なので通気性は非常に良いです。本日、気温は13度ぐらいだったのかなと思いますが、冷え性の私には少々つま先が冷たく感じた程です。逆に言えば、温かい時期のランニングには非常に向いていると言えます。

注意点:安定性が少々乏しい

さて、ここまで非常にスピードに乗れ、かつフィット感に優れた軽量シューズということで紹介してきたFuelCell Rebel V2。私としては一躍お気に入りシューズの仲間入りをしたのですが、一点だけ懸念点があります。

それは、安定性が高くないのではないか、という点です。

私はこれまで、ナイキのペガサス37を毎日のランニングに使用してきました。ペガサスシリーズには初心者でも安心して履けるかつ、中上級者の練習にも対応する万能シューズという特徴があります。その為、筋力の低いランナーを怪我から守るためのクッション性や安定性をシューズに備えていました。

一方、今回着用したFuelCell Rebel V2ではよりスピードを出すための設計になっているからか、走っている最中に少々横にふらつくような感覚を覚えました。ペガサス37に慣れすぎているというのも理由かもしれませんが、あまり走力のない初心者の方だと足を痛める可能性があるのでは、という気がします。

まとめ:心地よいスピード感をリーズナブルな価格で

FuelCellについては以前紹介させていただいた同社のバッシュであるOMN1Sにも搭載されており、それを着用したときは安定性に特化したクッショニングという印象でした。

一方、今回のFuelCell Rebel V2ではチューニングがまったく違うものになっているようで、やわらかなクッション性と「バイーン」と跳ね返してくれるような反発性を体感できる非常に心地よいシューズになっていました。まあ、そもそもそれぞれのシューズの用途がまったく異なるので差は出て当たり前なのだとは思いますが。

走ってみるとその心地よい反発によって足が次々と前方に押し出されていき、どんどんスピードを上げていくことができました。当たり前の話だとは思いますが、シューズ一つでここまで変わるのだな、と改めて思いました。

いずれにしろ、私にとってFuelCell Rebel V2は日々のランニング用シューズとしてのローテーション入りは確実です。価格もそこまで高くなく、良い買い物ができたなと思います。

走り始めの初心者の方にはあまりお勧めできませんが、ある程度走力のある方であれば非常に心地よく、また、ランニングが更に楽しくなるシューズだと思います。カラーリングも豊富ですので是非お気に入りのものを探してみてください。


最後までお読みいただきありがとうございました。