ナイキのサステナブル・マーケティングについて、アメリカのナイキ公式H.Pの記事を参考にまとめてみる。
画像引用元:purpose.nike.com
こんにちは。壮年留学生です。
今日はアメリカのNIKEの公式ホームページを参考に、同社のサステナブルな活動についてまとめてみようと思います。
- 1. サステナブル・マーケティングってなんなんだこの野郎
- 2. ナイキのサステナブルな活動の数々
- 2.1. 1. Move to Zero 地球とスポーツの未来を守るために炭素排出量、および廃棄物ゼロを目指す
- 2.2. 2. Showcasing Sustainable Design on Nike.com 環境に配慮した製品をわかりやすく、買いやすく
- 2.3. 3. Scaling Our Use of Sustainable Materials フライニットを始めとした独自の素材たち
- 2.4. 4. Our Spaces & Operations 製品だけでなく、オフィスも環境対策
- 2.5. 5. Nike Grind Program 履き古したスニーカーを解体し、新たに命を吹き込む
- 2.6. 6. Space Hippie – Designing for the Future スクラップから生まれた新しいスニーカー
- 2.7. 7. Collaborating to Preserve Our Planet 他団体と協同し、多角的に活動中
- 3. まとめ
サステナブル・マーケティングってなんなんだこの野郎
かみ砕いて言うと、環境に配慮したマーケティング活動
サステナブル・マーケティング(sustainable marketing)とは、直訳すると「持続可能なマーケティング」と訳すことができます。
これだと全然意味がわかりませんが、
要するに、人々のエコ志向の高まりに合わせて、環境に配慮した製品の開発と企業活動を行っていくというマーケティング手法のことを指しています。
日本と海外のサステナビリティ意識の違い
これは私の主観でしかないのですが、日本に比べて海外、少なくとも現在私が住んでいるカナダの人々の環境保護に対する意識が高いような気がします。
例えば、こちらで生活をしていると、ペットボトル飲料を購入したり持ち歩く人の数が日本のそれと比べて圧倒的に少ないです。
その代わり、多くの方がマイボトルを持ち歩いています。
日本に住む外国の方の中には自国との意識の差に違和感をもっている人もいるようです。
下記動画にて、日本に住むオーストラリア出身の方が感じた、日本の商品の過剰な包装について解説してくれていますので是非ご覧になってみてください。
日本にずっといたら自分も気が付いていなかったかもしれませんが、確かにカナダでは個包装になったお菓子を見たことがなかったりします。
今回紹介するナイキのサステナブル・マーケティングについても、一部はナイキジャパンのウェブサイトでも紹介されているようです。
しかし、アメリカのナイキのウェブサイトでは、日本版の数倍のボリュームでそれについて語られています。
ナイキのサステナブルな活動の数々
ナイキは、7つの異なる方法でサステナビリティに対するアプローチを行っています。
1. Move to Zero 地球とスポーツの未来を守るために炭素排出量、および廃棄物ゼロを目指す
ナイキが掲げるMove to zeroはスポーツが未来永劫発展していくことを願った活動で、企業活動による一酸化炭素、二酸化炭素の排出と、廃棄物のゼロを目指す活動を指します。
彼らは地球温暖化等による気象の変化はアスリートのパフォーマンスやクオリティの劣化につながると考えています。
実際、夏の日本においてもあまりの暑さに高校の部活の練習が制限されたり、試合の中止や延期が当たり前のものになってきました。また、世界中の冬が短くなっており、以前と比べてウインタースポーツの選手が練習できる期間が短くなっているそうです。
このまま何十年何百年とこの状況が続けば、失われてしまうスポーツが出てきてしまう可能性もあります。
この状況を打破し、スポーツを守っていくためにするために掲げているのがMove to Zeroです。
2. Showcasing Sustainable Design on Nike.com 環境に配慮した製品をわかりやすく、買いやすく
news.nike.comの2020年4月22日付の記事によると、nike.comを使って買い物をする人に向けて、少なくとも50パーセント以上の環境に配慮した素材が使われた製品に、専用のサインを付けたそうです。
そのサインがこちら
そして対象の商品画面はこんな感じです。
商品画像の左上にたしかに先ほどのロゴが記載されています。
ナイキに限らず、言われてみればどの製品が環境にやさしいかどうかが明示されてることって少なかったと思います。
簡単なことですが、環境保護への意識が高い消費者にとっては格段に製品を選びやすくなりました。
ちなみにこのロゴ、オールドナイキファンにはおなじみのサンバーストと呼ばれるロゴです。今後は前述のMove to Zero、およびサステナビリティを考慮した製品に関連するロゴとして使用されるそうです。
実はナイキは20年以上にわたって環境に配慮した製品を企画し続けています。その昔、ナイキコンシダード(considered)と呼ばれる、エコな素材でつくられた製品のラインが存在していました。
いつからかその名前を聞くことはなくなりましたが・・・。
3. Scaling Our Use of Sustainable Materials フライニットを始めとした独自の素材たち
ナイキでは主に4種類の環境に配慮した素材を使用しています。
Recycled Polyester リサイクルポリエステル
主に使用済みのPETボトルを再利用して生産されたポリエステルのことですね。
リサイクルポリエステルを使った製品は、2000年に初めて開発され、同年のシドニーオリンピックにて使用されたそうです。
現在までに、7.5億本ものペットボトルがリサイクルポリエステルとなってナイキの製品に変貌を遂げているそうです。
Flyknit フライニット
こちらはスニーカーファンにもおなじみのテクノロジーですね。アッパーにニット状に編み込んだ素材を使用することで、軽量性と通気性をそれまでのものに比べて格段に向上させることができます。2012年にフライニットレーサーのアッパー素材としてデビューしました。
このテクノロジー、環境にもものすごく配慮された技術です。
今迄は靴を生産する場合、革や材質の切り抜きが必須となり、当然、切り抜かれた後はただのゴミが発生していました。
しかし、編み込んだアッパーには切り抜くという作業が発生せず、生産工程におけるゴミを最小限に抑えることができます。
製造時のゴミの減少率は60%にもなるそうです。
Flyleather フライレザー
こちらは比較的新しいエコ素材で、2017年にデビューしたフライレザーです。その50パーセント以上がリサイクルレザー繊維で構成された、新しいレザータイプの素材です。
見た目や質感は革と見間違うほどのクオリティらしいです。
材質の製造時のCO2排出量も、天然皮革と比べて低減されているそう。
Sustainable Cotton サステナブルコットン
現在、ナイキでは綿を使用したアパレル製品の86%をリサイクルコットン、オーガニックコットン、またはBCIという機関が指定する、持続可能性を追求した綿の生産プログラムを用いて生産されたものを使用しています。
ゆくゆくはこの数値を100%にすることを目標にしているそうです。
4. Our Spaces & Operations 製品だけでなく、オフィスも環境対策
ナイキは社屋や生産設備についてのサステナビリティを追求しています。世界中のナイキオフィスにて、化石燃料を使うのではなく、再生燃料を使ったオフィスや設備のデザインを進めているとのこと。
私がポートランドの本社へ伺ったときもそうだったのですが、ナイキのワールドヘッドクォーターは内は常にどこかしらが工事中になっているそう。
新しい設備の建設もありますが、きっと再生燃料へ切り替えるためのリノベーションも行われているのでしょうね。
5. Nike Grind Program 履き古したスニーカーを解体し、新たに命を吹き込む
ナイキによって古くなったスニーカーを再利用してバスケットボールコートがつくられる、なんて話を聞いたことはないでしょうか。
これは正にNike Grind Programの一環です。(Grindは細かく砕くという意味)
バスケットコート以外の建物のフロアの他、ナイキのアパレルや、ジッパーの素材、更には再度新たなスニーカーのパーツとして生まれ変わるそうです。正に製品の持続可能性を追求した取り組みと言えるのではないでしょうか。
履きつぶしたスニーカーはゴミ箱に捨てるのではなく、リサイクルに回すという発想にしていきたいですね。
6. Space Hippie – Designing for the Future スクラップから生まれた新しいスニーカー
スペースヒッピーは、ナイキ史上、最も温室効果ガスの発生を抑えて生産されたスニーカーです。
その製造には、ナイキの製品生産施設の床に転がっている「スクラップ」を再構築して生み出した素材が使用されています。
下記動画を見ていただくとイメージがつきやすいかと思います。
フライニットアッパーはペットボトル、Tシャツ、または糸の切れ端からつくられたものを採用。スペースヒッピーシリーズでは、アッパー素材の少なくとも85%がリサイクル素材でつくられています。
スペースヒッピーシリーズのクッショニングは、あの大人気厚底ランニングシューズ、ヴェイパーフライ4%の製造工程で発生したズームXフォームのスクラップをつかって作成されています。
この方法だと、製造時の二酸化炭素排出量が通常の行程の約半分で済むそうです。
アウトソール一体型のミッドソールは、ナイキで通常使用するミッドソール素材に、上述のNike Grind Programによって生み出されたグラインドラバーを15%使用することで作成されています。
グラインドラバーを使用することで、二足として同じ色味のソールが存在しないみたいです。
7. Collaborating to Preserve Our Planet 他団体と協同し、多角的に活動中
ナイキは2019年に外部の団体とともに、環境保護に関する新たな団体、および連合を立ち上げています。
一つはArctic Shipping Corporate Pledgeと呼ばれ、世界の冷蔵庫と言われるほど地球を快適な温度に保ってくれている北極の氷を守るための活動を行う団体です。
上記団体の立ち上げに伴い、ナイキでは北極海を経由する製品の運輸ルートを一切使わないようにしています。
もう一方はSustainability Air Freight Allianceという連合体です。こちらはバイヤーとサプライヤー間の協力体制を意味し、空輸による温室効果ガスの発生を軽減させることを目的としています。
まとめ
日本の消費者にとって、どうも遠い存在な感じのする企業のサステナブル・マーケティングですが、海外においては、企業は消費者に向けて積極的に自社の活動について発信しているようです。
ナイキジャパンのホームページ上においても、前述したような持続可能性に関する内容が語られていない訳ではないのですが、アメリカ現地の情報量にくらべるととても少ないです。
現在世界中が直面しているパンデミックと同様、地球の気温上昇や環境破壊は地球規模の問題であり、遅かれ早かれ、各国が本気で対応しなければならないときが来るのだと思います。
手遅れになる前に、今のうちからそれを意識した行動ができるようにしていきたいものです。
最後までお読みいただいた皆様、ありがとうございました。
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